『異人館村殺人事件』 のアラ探し /金田一少年の事件簿
クラスメイト時田若葉の結婚式に出席するため、若葉の元恋人で不動高校の教師でもある小田切と共に、青森県六角村を訪れたハジメ。
奇妙な6つの館が立ち並ぶ小さな村で、やがて、身体の一部が欠けたミイラになぞらえた連続殺人事件が発生する。。。
・・・ってコトで、『異人館村殺人事件』 のアラ探しをしてみた。
▼青森までクルマ 凸=3
この物語では、ワカバの結婚式に招待されたハジメ達は、不動高校のある関東から青森までオダギリのクルマで向かっている。
今回の事件は、この "クルマ" そのものが重要な役割を果たす必須アイテムなのでこの流れ自体は仕方がナイのだろーケド、、、しかし青森までクルマで行こうと思えば8時間くらいは掛かるコトになるので、フツーに考えればこの設定自体にはかなり無理がある。
つまり、もし並行推理をしていればこの時点でクルマがトリックに使われることが確定していたと思われる。
▼キンダニと呼ぶ俵田
この物語が初登場となる青森県警の俵田刑事だが、いきなりハジメのコトを "キンダニ" と呼んでいる。
キンダニとは "金田一一" を文字で縦書きにした時に初めてそう見えるワケで、、、やはりマンガの登場人物とゆーのは台詞を "読んで" 会話しているのだろうか(??;
▼他の村人にはバレないモロモロ
この物語では、6つの館の主たちは大麻栽培によって巨万の富を得てきた設定になっている。
でもって27年間、その大麻栽培を他の村人にはバレないようにしてきた・・・とのコトだが、はっきり言ってそんなコト絶対に無理っす。
田舎育ちの人には分かると思うのだけど、たとえどれほど村から離れた場所で栽培してようと絶対に無理。
さらにコレら6人は、27年前、大麻栽培をやめようとした教会の牧師一家を銃で落ち殺した上で教会に盛大に火を放っているワケだが、コレを他の村人にバレないようにするナドもっと無理。
そもそも、物語冒頭で行われた "ワカバ結婚の祝賀パーティ" では、『6つの館の主をはじめとして "村の名士たち" が勢ぞろいしていた』 そうだが、でも6つの館の主以外の人物は1コマたりとも描写されておらず。。。
・・・要するに、この物語の構成には "他の村人" など根本的に必要なかったと思われる。
▼渡してなかったPTA会長と校長の密会写真
物語の冒頭、ワカバとオダギリの関係発覚によってワカバが退学させられるコトになった時、ハジメがポラロイドカメラでPTA会長と校長とのラブホ密会写真を撮ってソレをネタに退学処分を撤回させているのだが、、、普通、そーゆー取引の場合、その "写真そのもの(ポラロイドなのでネガは無し)" は相手に渡すモンぢゃね??
しかもハジメは、最後の謎解きの場面でコレら写真を皆の前で盛大に公開しているワケだが・・・。
物語の流れ的に "この写真が必須" だったコトは分かるケド、、ハジメの人格というか、こういう辺りの "約束を守る姿勢" としていかがなモノか??
『露西亜人形殺人事件』 でハジメとの約束を守るタカトーの姿勢を見習って欲しいトコロだ。
▼第7話でハジメが開けている教会の扉
物語第一話で "ワカバの死体" を発見する時、鍵が掛けられた教会の扉をクルマのウインチで剥ぎ取るように壊しているのだが、第7話の冒頭でハジメはその教会の扉をフツーに開けて入っている。。
"教会" というのは、基本的に祭壇正面に向かう一箇所しかメイン扉は無いハズで、そして "ウインチで壊した扉" も "第7話でハジメが開けた扉" も、その前後の描写からどちらもメイン扉であるコトは明らかである。
つまりこの部分は、明らかに作者の描写ミスである。
▼キリコとワカバの死体入れ替え
この物語では、犯人は 『キリコとワカバの死体の衣装を着せ替える』 という作業を行っているワケだが、犯人はいつそんな作業を行ったのだろう??
物語内でハジメは 『皆が寝静まった後に』 と言ってるが、普通、こんなトンデモない殺人事件が起こった時に関係者全員が教会や死体をほったらかしにしてスヤスヤ眠るモノだろーか?
警察の到着が "翌日の朝" となるだけでも奇跡的な職務怠慢ブリなのに、この設定はいくら何でも無理があり過ぎと言えよう。。
▼犯人は館の出入り自由自在
さらに犯人は、
・キリコの死体を、キリコの家である "鎧の館" 内の鎧に隠していて、
・”蔦の館” 内でクサナギを殺して、
・”塔の館” 内でゴトーランを殺害
しているワケだが、、、
・・・この村の館には "鍵" とか掛かってナイんすかね(??;
・・・とゆーよりこの村の住人には "危機感" とかナイんすかね(??;;
・・・そもそもクサナギ以降は村に警察が来ている状態のハズなのにケーサツ何やってんすかね(??;;;
・・・と、ショーモナイ部分で突っ込みドコロ満載になっているのだケド、、でも、第一話の 『オペラ座館』 に続いて、衝撃的な殺人現場が登場したこの第二話で、『金田一少年の事件簿』 の世界観のようなモノが、読者に強烈に刷り込まれたような気がします。
更に、この 『異人館村殺人事件』 ほど、金成陽三郎氏による、事件の裏に流れる人間模様のような悲しい部分が強烈に描き出されている作品はなく、この第2話で一気に読者の心を掴んだように思えます。
アリバイとかトリックとか描写とか検証とか、"ミステリとしての物語" そのものは金田一の初期作品としてツメが甘いのはある意味では仕方なく、僕個人的には、総合的に見て 『金田一少年の事件簿』 の中で一番好きな物語かも知れません。
▽『異人館村殺人事件』 @Amazon
※これも、この装丁の本はもう無いようです。。
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by mystery_DsD | 2012-05-05 17:04 | @ア・ラ・サーチ