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『雪影村殺人事件』 の墓場 /金田一少年の事件簿

☆過去の推理検証

『誰かにあれを拾われたらあたし...』

不安げに中学校のテニス部部室を訪れ、そこで殺されてしまった綾花。

・・・・・・しかし・・・・・・ その 『あれ』 って、一体何だったのだ??

ある一本の掲示が、この物語そのものを墓場へと導く...
これは、掲示板での "亜紀子さん" の投稿を元として、検証を行ってみたモノである。






そもそも、この物語の中で綾花が不安がっていたコトと言えば、冬美との作り話で春菜が死んだコトに対しての

『どうしよう冬美!!こんなこと誰かに知られたらあたしたち・・!』

というコト、ただ一点のみである。
トコロが、

『もし誰かに見られた場合、冬美と作り話をしていたコトがバレてしまうような証拠』

など、どー考えても根本的に有り得ないのだ。
考え得る限りの可能性とすれば 『冬美との会話を録音したテープ』 とか 『作り話の内容を記したメモ』 くらいのモノなのだが、万一、そんなモノが存在していたとしても、日頃持ち歩いて落としてしまうとは思えない。

そこで、ちょっと視点を変えて、最後のはじめの推理シーンを見てみると、

『島津・・・・ここからは俺の想像なんだが・・』

――― として 『綾花と冬美の二人も島津のコトが好きだったんじゃないか?』 とハナシを繋げている。

トコロが、よくよく考えてみると、コレは非常におかしなコトなのだ。
まず、

●1:島津と春菜の父親が同姓同名であった。

こんなコトだけで春菜がせっぱ詰まった状態に追い込まれるワケがないのだが、それ以前に、なぜ春菜がそのコトを知ったのか? というコトが推理の上では問題となるハズである。
で、そうなると

●2:では、誰が、何のためにそれを春菜に教えたのか?

ということと、

●3:そもそも、島津や春菜さえも知らないコトなのに、春菜にそれを教えた人物こそ、ナゼそのコトを知っていたのか?

というコトが問題となって来る。
で、『●3:』 の方は "たまたま知っただけ" なのだとしても、『●2:』 の "何のために" が分からない限り、はじめがこの推理を繋げて行くことナド絶対に出来ないハズなのなのである。
つまり、

◆1 :もともと、殺された冬美と綾花の二人は『春菜を憎んでいた』あるいは
◆1’ :もともと、殺された冬美と綾花の二人は『春菜に嫉妬していた』
◆2 :それが原因となるモロモロで、この二人によって春菜が自殺するまで追い込まれた
◆3 :その流れを犯人が知った
◆4 :だから犯人が復讐として二人を殺した

と、こういう流れになるべきハズのものであって、この流れの根底とも言える 『◆1』 『◆1’』 の事実が明らかな推理の材料としてはじめの前に提示されていない限り、はじめがこの事件の真相にたどり着けるワケがないのであって、間違っても 『俺の想像なんだが・・・』 ナドというレベルの材料で展開できる話ではないハズなのである。

で、そうなってくると、

●綾花が人に見られて困るモノで、
●しかも常に身につけているモノで、
●ついでにこの物語の流れをスムーズに繋いで行くモノ

というのも、それはそれなりに考えられるコトになってくる。

例えば 『"Ayaka" とイニシャルの入っている、島津の写真を入れたロケット』 などがそうで、ソレをはじめが数珠玉を見つけた時についでに見つけさせておけば完璧だったハズなのだ。
つまり・・・

★綾花は、時々、中学のテニス練習に参加していた。
★この部室内で着替えをするのだが、その際にロケットを忘れてしまうか落としてしまうかして、そのままその日は気づかずに帰ってしまった。
★忘れたコトに気づいて、『誰かにアレを見られたらわたし・・・』 とそのロケットを探しに来て、そこで島津に殺される。
★後日、はじめが数珠玉を探しに部室にやって来る。
  ・数珠玉を見つけたはじめは、フト、ロケットが落ちているコトに気づいて拾い上げる。
  ・表面には "Ayaka" とイニシャルがある。
  ・蓋を開けてみると、そこには島津の写真が入っている。
  ・はじめは 『なんで綾花のロケットに島津の写真が・・・』 と思いながらも、次の瞬間
   "綾花も島津のコトが好きだったのか" と思い至る。
★雪の積もらない浜辺で島津の父親に会い、そこで島津の父親と春菜の父親が同姓同名であったコトを知る。
そして、

  ◆1:島津と春菜の父親が同姓同名であること。
  ◆2:綾花が島津のコトが好きだったというコト。
  ◆3:『◆1』 の事実を誰かに聞かされて、春菜が自殺するまでに追い込まれたコト。
  ◆4:そして春菜の遺書の、『嬉しいはずの色が許されない色・・・』

――― それらのコトがはじめの中で一つに繋がって、

『・・・なんてこった・・・・・・ 謎は全て解けた・・・』

と、なるハズだったのだ。

なお、『◆2:』 『◆3:』 の 『島津が2人を殺した動機』 の辺りや、『春菜を自殺に追いやった原因を作ったのは、誰と誰とで何人であった』 というコトがあやふやなままなのに、"次に殺されるのは私かもしれない" と怯える都に 『もうお前は心配しなくても大丈夫・・・』 ナドと平気で言っているのだが、考えてみればコレも妙な話だ。 この時点のはじめにそんなコトを言えるだけの情報が集まっているワケがないのである。

トモアレ、恐らく作者は、最初はそういった

『ロケットなど、綾花が島津のコトが好きだったという証拠』

を、取りあえずはじめに見つけさせるつもりだったのである。
その上で、

『恐らく、島津と春菜の父親が同姓同名であったという事実を、綾花が 嫉妬心から春菜に教えてしまって、それが原因で春菜が自殺するほど追いつめられて行ったのだ』
  ↓↓
『しかし、冬美も同じように殺されているというコトは、恐らく冬美も今回の "原因" に関わっていたと考えられるので・・・』
  ↓↓
『オレの想像だが、たぶん "冬美も" 島津のコトが好きだったんじゃないか・・・』

と、こういう流れになる予定だったと思われる。
だから、タイムカプセルを開いた際には冬美に関する分だけが "こんな前から島津のことが好きだったんだな" と、はじめの推理を裏付ける事実としての証拠 として書かれているワケなのだ。
今のままでは ”綾花も島津のコトが好きだった” いう部分がただの推測で終わってしまっていて、要するに片手落ちとなってしまっているのである。

ともあれ、何にしても掲示板で亜紀子さんがおっしゃっている通り、

『誰かにあれを拾われたらあたし...』

という伏線を敷いておきながらそれを回収していないとゆーのはどうしようもない事実であるので、コレは作者の

はじめにロケット見つけさせるの忘れてしまっていたぜ~~!!(ToT)・・・

 とゆー、本格推理にあるまじきポカであるとだんてーし、ココにこの物語の墓場行きを決定する次第である。(^^;ゴシューショーサマデス・・・

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by mystery_DsD | 2012-04-23 11:06 | @過去検